番外編 新しいシャツ
若干、間が開いてしまいました。
申し訳御座いません。
今回は、いつもの生地の紹介ではなく、番外編として、シャツの紹介をしたいと思います。
(生地のネタが尽きたわけではありません。まだまだ生地紹介は続きますので。)
このシャツは、この夏の私用の1枚なんですが、出来上がってきたのを見て、なかなか良い感じだったので(特に衿周りが)、ちょっと番外編でもさせていただこうかな、と。
生地は以前ここでも紹介したアルモのボイル地で、涼しげなブルーのストライプです。
形は、ワイドスプレッドの衿に大きいラウンドのシングルカフス。
ダブルカフスも考えたんですが、夏場のダブルは暑いので敬遠してしまいました。
夏生地ですから、ダブルでもそんなに暑くないんですけれど、せっかくさわやかな色合いのシャツなので、今回はさっぱりと。
あとはニットタイでもあれば、グッと夏の装いになりますね。
クール・ビズでも、単純にネクタイをしないだけではなく、ネクタイをしていても、見目に涼しい、そこを目指してみました。
アフター5(最近はあまり聞きませんね)に着崩す事を前提で生地や形を決めるのも面白いかもしれません。
フォーマルすぎず、ラフになりすぎず。
仕事の時にはビシッとネクタイを締めて、仕事が終わった後で人に会う時にはニットタイに締め変える。
オンとオフに差をつけたい時にはこういう1枚もいかがでしょうか?
番外編 冬のカジュアルシャツ
久しぶりの番外編です。
今回は、私のシャツではないんですが、お任せで注文を頂いた冬のカジュアルシャツの出来が良かったので、載せてみました。
仕様としては、
衿・セミワイドのボタンダウン、9センチ×5センチ
衿台前高めにして2ツボタン
カフス・ボタン留め7.5センチ幅で大きなラウンド
2ツあるポケットは、生地をバイアスでとって、フタ付きボタン留め
見えませんが、ヨークはカウボーイシャツ風に丸みをつけてあります
ボタンは黒蝶貝使用で、ボタン穴とボタンの付け糸は赤糸を使ってます
厚地でカジュアル用ということで、普段よりも少しゆとりを多めに入れてあります
綿起毛の生地で作ろうにも、どういったシャツにしたら良いのか解らない、という方の参考にしていただけたら、と思います。
番外編 ボタンダウン衿
今回の写真は、社員のシャツの衿です。
なかなか具合がいいので、ちょっと載せてみました。
出来上がってから、何度か洗うまでは、実際の風合いが分からないので、じっくりと洗ってもらって、今回はカジュアル用に糊なしの自分アイロンで、少し柔らかな雰囲気になっているそうです。
ウチの普通のボタンダウンとの違いは、
長さ、高さ、共に標準より大分大きい
衿の開きが広めにしてある
衿山の開きを通常の倍以上とっている
併せて、前も高いので、2ツ釦にしている(上の釦穴部分は、奥に少し台衿を持ち出している)
といったところでしょうか。
今回はノーネクタイですが、ネクタイをした時の収まり具合もなかなかです。
衿山の開きが広いので、大きいノットとの相性が良いからだと思います。
お気に召して頂ければ幸いです。
参考までに、ですが、生地はアルモの100/2です。
番外編 2枚衿
たまにはこんなシャツも作ります、ということで、2枚衿のシャツです。
仕様としては、衿が2枚重ねになっていて、前立て下に別生地でラインを入れてます。
衿台も高くして2ッ釦に。
上衿は前8.5センチ×後5.5センチです。
釦ホールは普通に白糸でかがってますが、釦の付け糸と衿、カフスのステッチは色糸を使っています。
生地はトーマスのゴールドラインの白ヘリンボーンです。
どちらかといえば、ウチはフォーマルっぽいシャツ、年配の方のシャツのイメージが強いのではないかと思いますが、オーダー屋ですから、こういったモノも作ります。
見本持ち込みや、イメージをカタチに、と、シャツの楽しみの幅は広がります。
番外編
今回の番外編は、半袖の特注デザインシャツです。
形自体は特別ではないんですが、生地柄の特徴を踏まえ、派手過ぎず、でも分かりやすくカジュアルに、とのご注文を頂きましたので、こんな感じで作ってみました。
衿先の半インチを白生地で切り替え、前立、袖先、ポケット口、ヨークといった折り返しのある縫い目にも、白を挟む一工夫を。
釦は黒蝶貝を使い、釦穴と留め糸には白糸を使用。
見た目よりも手間の掛かった仕様です。
パイピングに近いですが、ちょっと違うんです。
ごく短い、はさみ付け、という感じですね。
ただ、外側から見ても、内側から見ても、分からない手間なんですけども。
縫い目を増やさずに、均一に白の部分を出すのって、結構大変なようです。
職人の頑張りが光る1着です。
ですから、写真もいつもより大きめに!
時期や混雑具合によっては、完成までかなり時間を頂く事になりますので、ご注文の際は、どうかご理解くださいませ。
今回は1ヵ月半かかりました。。。
番外編 芯地のお話 その1
早速ですが、芯地のお話を少ししてみようかと思います。
芯地は、ご存知の通り、殆どのシャツの衿とカフスに入っていて、目的としましては、表地に張りをもたせる、型崩れを防ぐ、体型をカバーしてシルエットを美しく形作る、といったところでしょうか。
大きく別けて2種類があり、のりつき(接着)、のりなし(非接着、フラシ芯と呼んだりもします)となります。
それぞれの特徴としましては、まさに読んで字のごとく、表地に接着剤で貼り付くのが接着芯、着けずにあるのが非接着芯です。
接着芯は、表地に貼り付けることで、常に表地をシワがなく、張りのある状態に保つ事が出来ます。
見栄えが良く、最近の既製シャツの殆どはこちらの芯を使っていると思います。
生地と芯が張り付いているので、あまりに硬い芯を選ばない限り、縫製が簡単であることも、その一因ではないでしょうか。
短所としては、とにかく「縮み」、この一言で、あらかた片付きます。
ランドリーに出した後で、衿やカフスを裏返した時に、裏だけがシワシワになっていたら、それが縮んだ分です。
(縮む原因まで書きだすと、収まらないと思いますので、今回は先延ばしにしておきます。)
あとは、接着剤の染み出し、といったところでしょうか。
接着芯を使った衿を、何度か洗っていくと、ポツポツと小さな水玉のようなシミが見えてきます。
ソレが、接着剤が表地に染み出してきた状態です。
接着芯、乾燥機、仕上げ糊、機械プレス、と揃うと、下手をすれば一度に2センチくらい縮みます。
お気をつけ下さい。
(接着芯でも、きちんとしたケアをすれば、のりなし芯と同じくらい長持ちしますし、縮ませずに着れます。)
フラシ芯は、表地に着けない事で、柔らかさを出す事が出来ます。
自分でアイロンを掛けたりすると、表地を綺麗に仕上げるには、接着芯よりも少し苦労します。
引っ張りながらアイロンをかけてあげればいいので、その力加減が分かってしまえば簡単ですが。
慣れていないと、ステッチのところに表地がたまってシワになってしまいます。
長所としては、外的要因(接着剤)無しなので、表地と自然な馴染み方をする、縮みにくい、柔らかい、といったところでしょうか。
短所としては、前述の通り、シワになりやすい、上手にアイロンがけをしないとヨレヨレに見える、などです。
どちらも、長所ゆえの短所であり、同じく短所ゆえの長所なので、一概にどちらが優れている、とは言えません。
ウチのシャツは、のりなし芯が基本で、衿やカフスに張りが欲しい方、ご注文を伺っている際に、接着芯を使った方がイメージに近づけると思った方、とにかく硬い衿、といった方などには、接着芯のご案内をさせていただいています。
芯地の厚さ、硬さの種類までは、スペースの都合上、書ききれませんでしたので、その辺はまた次の機会にさせていただきます。
芯地は、当然ここに書かれていることが全てではないので、皆様も是非、ご自分好みの衿カフスの芯を見つけ出してみて下さい。
(写真は、上がのりなし、下が接着です。
表面が少し光っているのが分かるかと思うんですが、それが接着剤です。)
番外編 芯地のお話 その2
前回書ききれなかった、芯地の話の続きです。
芯地の厚みについてですが、ウチでは大まかに分けて5種類(ソフト、セミソフト、並、セミハード、ハード)×2パターン(糊なし、接着)があります。(この分け方は、独自のものなので、他の会社ではまた違う呼び方をしてたりします。)
それらがそれぞれ、衿とカフスに入っています。
あくまで『大まかに分けて』なので、実際には何十種類もあるのですが、あまり沢山あっても選びきれませんので、もっともよく使われるものから5種類に絞ってます。
大抵は同じ芯を使いますが、好みや用途によっては、衿とカフス、別々のものを使うこともあります。
例えば、少し硬めのダブルカフスを選んだ場合、衿をセミハード芯、カフスは二重になるので、並芯を使う、などという事もあります。
衿は硬くバチッと見栄え重視、カフスはデスクワークが多いので柔らかく、という場合は、衿がハードでカフスはセミソフト、なんて極端なのもアリといえばアリ、です。
色々な所のボタンダウンのシャツなどでは、衿が接着のセミソフト芯、カフスは糊なしのセミソフト芯、というパターンが使われていたりします。
芯地の硬さ、風合い等は、個人によって感じ方が大分違ってきます。
今まで柔らかいのを着ていた方にしてみれば、並芯でも十分に硬かったりします。
なので、芯地にまでこだわる方は、まず一度自分のイメージに近い名前の芯をお試しいただき、それよりもう少し硬く、柔らかく、といっていただけると、理想のものに近付きやすいと思います。
何度かお洗濯をするまでは、芯地本来の風合いが出て来ませんので、その辺も様子を見なければいけなかったり、結構難しいんですが。
ちなみに、芯地はパズルみたいなもので、組み合わせ次第でかなりの種類になります。(気分的には無限です。)
ハード芯よりも、もう少し硬く、という時には、セミハード芯にセミソフト芯を重ねて(抱かせる、なんていいます)、硬さを調節したりも出来ます。
よくある使い方としては、上衿の先の方にだけ硬い芯を足して(補強芯、ヒューズ芯などと呼ばれます)、後ろはそんなに硬くないけど、前はバチッとさせてみたり。
ただ、あんまりこだわりすぎるとドツボにはまってしまいますので、あんまり基本から外れすぎると戻ってくるのが大変です。(その都度取り換えなければならないので。3~4回取り合えれば、シャツが1着作れちゃいます。)
数多くの中から、基本の5種類が生き残ったのには、それなりの訳がある、という事ですね。
衿がハード接着芯(基本の中では最も硬い)で、カフスが糊なしソフト芯(逆に、最も柔らかい)なんて、ピーキーな設定をする方なんて、まずいないのですが(する理由があんまりないからだと思います)、芯地の設定は、シャツにこだわる方を、より深く満足させる、また、新たなこだわりを生み出す材料になるのではないでしょうか?
言われてみれば、衿だけもう少し硬ければなぁ、なんて思った方は、次回お作りになる際には、ちょっとこだわってみませんか?
不定期連載・シャツの世界(生地編)
ワイシャツのオーダーの醍醐味の一つが生地選びだと思います。
ここでは、世界中の様々な生地を、ポピュラーなものからレアなものまで紹介していきたいと思います。
不定期ではありますが、シャツ作りをより一層楽しむための手助けになりましたなら幸いです。
文中に登場する言葉は、シャツ業界で使われている表現(アパレル全般とは大分違います)なので、本来の意味と少しずれていたり、大雑把な枠組みになっていたりします。
違和感を感じる方もいらっしゃると思いますが(私もそうでしたので)、通称や通り名だと思ってください。
全てのシャツ屋が共通の用語を使っているわけではないと思いますが、大抵のお店で通用するのではないか、と思われます。
あくまで私見ですので、ご了承下さいませ。
基本的には当社で手に入る→お作り頂けるもの中心でお伝えしていきますので、目に付いたものが御座いましたら、在庫確認のご一報をお願いいたします。
人気のある生地の場合、早々に在庫切れになる事もございますので、その際はご了承下さいませ。
番外編
久しぶりに番外編でのシャツ紹介です。
今回は、アルビニの黒紋で作りました。
しばらくはオークラ店のディスプレイ用として飾ってありますので、お立ち寄りの際にはちょっと眺めていってください。
形としては、ちょっとハイカラーのワイド・スプレッドで、衿台が高めになっているので2ツ釦にしてあります。
着せ付けてあるボディが、凄い胸筋なのに首が細いという、ちょっと変った体形の持ち主なので、首寸法が余ってますが。。。
(写真では見えないですが、ウエストはくびれていて、そこも寸法が余っちゃってます)
春らしい生地の紹介が続くので、逆をついてみました。
番外編 市松シャツ
先日予告していたシャツが出来上がったので、紹介させていただきます。
最近はワイドスプレッドで作る事が多かったので、今回はボタンダウンにしてみました。
思っていた通り、生地段階よりも少し大人しい印象になってますが、色が色なので、それなりに派手な感じです。
出来上がりをそのまま展示してしまっているので、衿が硬く、ボタンダウンらしい柔らかなロールが出ていません。
暫くディスプレイ用として使ってから、洗いにかけて着ようと思います。
一月くらいはオークラ店に飾っておこうと思っているので、お近くにいらっしゃる際には、是非お立ち寄り、ご覧下さい。
番外編 衿のボタンは何個?
衿台には、大抵はボタンが1つ付いてます。
当然といえば当然なんですが、前が開くシャツの構造上、衿を前で閉じる為の留め具としてです。
ハイカラーのシャツが流行りだしてから、そのボタンの数が1つではなく、2つや3つというものが出てきました。
3つまでいくと、完全にデザインシャツだと思いますが、デザイン先行で、2つボタン(ドゥエ・ボットーニ)にするという事もあります。
注文の際に、「衿のボタンが2つのが良い」という感じで。
今回、採り上げたいのは、その衿のボタンについてです。
ウチでは通常、身頃と袖口には11.5ミリ、衿台と剣ボロには10ミリ、ボタンダウンの上衿剣先には9ミリのボタンが使われています。
つまり、衿台は直径1センチの円で押さえられる事で、一つの円形になっているわけです。
衿の後の高さが4.2センチ位のとき、衿台の前の高さは3センチ前後なので、衿台の真ん中にボタンが付くと、ボタンの上下におよそ1センチずつの押さえがない、ただ重なっているだけの部分が出来ます。
これ位だと、相当柔らかい芯地の台衿、または硬い芯地を入れた上衿か、ネックが縮んできつくなったシャツでもない限りは平気なんですが、前が4センチに近い高さになってくると、衿のボタンからの距離が長くなってしまう為、衿山(上衿の前の付け合わせ部分・ネクタイが収まる辺りです)の部分が耐えられず、外に向かってめくれてくる、折れてくる、といった現象が起きます。(体形や芯地と生地の組み合わせによって、起きない事もありますが、なりやすくなります)
ここで、2つボタンの登場です。
写真のように、ボタンが2つ付いていれば、より上の方で台衿を押さえられるので、外側に折れてくることはありません。
その際、上側の(ボタン穴がある方の)台衿を、少し斜めに奥側に持ち出してあげることで、より奥かつ上に押さえる力が掛かり、しっかりと固定してくれます。
衿台の前の高さが5センチ位ならば、3つボタンですね。
ドレスシャツで考えれば、そんなに長い首の方はまずいないですし、そんな巨大なネクタイのノットを作る事もないと思いますので、やはりデザインシャツでの仕様かな、と思われます。
ブームが落ち着いて、以前ほどのハイカラー需要はなくなりましたが、大き目の衿は多いです。
2つボタンのほうがデザインとしてではなく、機能として合っている場合もありますので、衿山が折れてしまうという場合には、2つボタンにしてみるのもいいかもしれません。
(写真の衿は、ワイドスプレッドの上衿8.2センチ×4.7センチで、衿台の前の高さは3.8センチという内容です。)
番外編 トーマス・メイソン ビスポーク その1
ちょっと前に入ってきました、トーマスのビスポークサービスのサンプルブックを紹介しようかと思います。
トーマスが、以前やっていた小口サービスを完全廃止(元々、公に使われていたシステムではなかったんですが)して、今後はこの方法で、と言って来たのが、このビスポークシステムです。
ミニマムの発注単位が小さいので、欲しいと思った生地の注文が、1着から出来て、しかもちゃんとトーマス側が作ったシステムなので出荷までが早く、生地の到着までが大体1週間というのが魅力です。
その分、1着だけで頼むと、関税、送料がダイレクトに1着のみに掛かってしまうんですが。
なので、単品で頼むと店頭にある同じクオリティーのトーマスの生地に比べて、結構割高になってしまいます。
当然、2着3着と同時に選ぶ事によって、1着あたりの負担は少なくなります。
内容に関しては、その2で触れていきます。