トーマスメイソンはもともとイギリスのブランドでしたが、イタリアのアルビニ社傘下になった現在でも、英国らしいデザインの生地を作り続けるブランドです。
そんなトーマスの新シリーズが、トーマスメイソン『ジャーニー』
「旅先でトランクから取り出してもシワになりにくい」「長い旅のお供にしてもらいたい」をコンセプトに、耐シワ加工の施された生地になります。
耐シワ加工と聞くと、形態安定のようにアイロン掛けが必要ない生地を思い浮かべる方も多いかと思いますが、「耐シワ」の文字通り、シワを抑える程度の特性ですので、アイロン掛けは比較的安易で済むようになりますが、全く必要無しとはいきません。
しかし、この形態安定や防シワなどの加工は、低い番手の生地やポリエステル混紡などの生地で多く施されており、ジャーニーが展開している100番手や120番手以上のような、綿100%且つ、高級番手という生地ではとても稀なことです。
当然、高級番手としての風合いを落とすことなく耐シワ加工が施されており、同じトーマスメイソンのジャーニーと無加工の生地を同番手同士で触り比べても、簡単に風合いの違いを指摘できる方はそうは居ないと思います。
ジャーニーと無加工の生地を比べた時に唯一分かる違いは、生地をつまんだ際の弾力がジャーニーの方が少し強い点です。
弾力が強いことにより生地に程よい張りが生まれますので、深いシワが入る以前に生地が張りを保とうとして、ある程度まで耐えてくれるので、丸みのある浅いシワでとどめてくれます。
ジャーニーはこの特性を指してシワを抑えると表しているのです。
弾力が強いと言っても決して度を越えたものではなく、他の生地と比べ「ややモチッとした触感が有るな」「しっかりしてるな」と感じる程度ですので、着心地を阻害したりはせずに、生地の個性と十分に言えるレベルです。
こんな特性を持ったジャーニーの活躍の機会は、やはりコンセプトの通りに旅や出張などの機会に最も発揮されるのではないでしょうか。
旅や出張が短期で荷物を少なくしたい場合に、シワになりにくいジャーニーであれば、激しく汚れなければ二日や三日は同じシャツを着て過ごすことも可能ですので、荷物を減らす事も出来ます。
長期滞在の場合でも、一枚を使う回数を増やすことで、勝手の分からない宿泊先のランドリーへ出して、せっかくオーダーメイドしたシャツが不本意な仕上がりになるリスクを避け、帰宅後に自宅で洗濯したり、馴染みのクリーニング屋さんにお願いすることが出来るようになります。
同じシャツを着て過ごす間も、少しの工夫でジャーニーの特性を生かすことが出来ます。
ルームウエア―に着替えた夜の間は、シャツをハンガーにかけて吊るしておくだけでもシワを和らげる事ができますし、ジャケットやスーツでなさる方もいらっしゃいますが、使った後の浴室に吊るして、適度な湿気を与え休ませる事で、シワを穏やかにする効果を更に上げることが出来ます。
今回のトーマスメイソン・ジャーニーは今まで紹介してきた生地とは、少しアプローチの異なる特性を持った生地です。
柄や色などのデザインや、肌触りなどの質感、こういった点を研ぎ澄ますのみではなく、御使いになる方へ利便性を高め、今まで以上の快適性を与えてくれる可能性を持った生地です。
アイロンがけが少し楽になったり、汗をかいてもくたびれ難かったり、普段のシャツとの生活で、当たり前だった点がガラッと変わるかもしれません。
出張や旅を例に挙げさせて頂きましたが、その便利さを利用してより自分にとって快適なシャツ生活を送って頂ければと思い、ご紹介させて頂きました。
これからも、定番的にお店に並べようと考えている生地ですので、ご来店の際に一度、ご覧になってみて下さい。